今、ゲームに必要なのは「操作説明」以上に「遊び方」なんじゃないかって話
妙な例えかもしれないが、ゲームを遊ぶという行為は「調理されたステーキ肉をナイフとフォークで食べる」行為に近いと、ぼくは考えている。
ナイフとフォークがなまくらだったら食べにくいし、肉自体が固かったら食べ進めにくい、そしてそもそもの話、食べ方やテーブルマナーの把握は何より大事である。
ゲームに当てはめると、操作性が不十分だったら遊びにくいし、レベルデザインが不親切だったら途中で投げてしまうし、そしてそもそも、どう遊べばよいのかわからなければ続けることができない。といったところかもしれない。
今回はそのゲームにおける「食べ方」の部分について考えてみた。
そもそも「操作説明」と「遊び方」は違うもの
操作説明とはボタンの機能の説明や、ゲームシステムの解説といった「手足の動かし方」に近いものであり。遊び方とはそこから一歩踏み込んで、どう動かせばいいのか、どう戦えばいいのか、といった「提示・提案」である。いわゆる「立ち回り」「戦い方」というのもこれに該当する。
本記事ではこういった定義で話を進めていくつもりである。
遊び方の提示が不十分である為ハマらなかった例(自分の場合)
遊び方や戦い方の提示が不十分であることから新規が参入しにくいジャンルとして、まず自分が脳裏をよぎったのは格闘ゲームである。
基本的な操作はまだ一応分かるのだが、パンチキックの強弱やガードをどう駆使しどう使っていけばいいのかという明確なチュートリアルや解説は基本的に後回しになってしまっている傾向がある。
自分の経験では、例えばBBCSのチュートリアルなどは最初から複雑なコマンド操作を強いており、投げ技を使いこなす前にゲーム自体を投げる原因となってしまった。
(最近だとスマブラも割とつらい、お祭り騒ぎゲーだから身内で遊ぶ分には楽しいのだがオンラインやCPU戦の一部は・・・ )
格闘ゲーム自体は多くのプレイヤーが存在する一大ジャンルであることは否定しない、だがゲームのセオリーを把握できてる人とできてない人で明確に二つに分かれてしまっているジャンルであるのではないかと、自分は考えている。
遊び方の提示が大ヒットに結びついた例
遊び方を提示することが大ヒットに結びついたゲームとして例として挙げられるのが何を隠そう「マインクラフト」である。
この何をするのも自由な作品、一人で遊ぶと「どう遊ぶべきか」という点で中々骨が折れることがある。(え?俺は初見でドハマりした?おめでとう、君は立派なゲーマーだ誇っていいぞ)
だがここにニコニコ動画やYoutubeといった動画共有サイトからのプレイ動画というものが加わると話が変わる。
何かしらのプレイ動画を見た際視聴者は「この遊び方なら自分も遊べそう」と思いソフトを購入し自分の見た動画から影響を受けまずは遊び進めていき、さらに遊んでいくうえで自分なりのプレイスタイルを見出していく。
そしてその中から誰かが更なる遊び方を提示した動画が投稿されまた別の人に影響を与える。この連続である。
要因は様々だがこの「遊び方の提示」がエンターテイメントとして昇華されたのも、マインクラフトというタイトルがヒットした理由の一つであることは確かだろう。
遊び方が分かりやすく大ヒットにつながった例
パッと見の戦い方や遊び方自体が分かりやすく大ヒットにつながった例として、最近の作品で考えられるものとなると「スプラトゥーン」がそれに該当するだろう。
インクを塗って陣地を広げる、広いほうが勝ち。目的が明確である。そしてそのための手段の模索をゲーム内で模索していくという流れなので「とりあえず何をすればいいか」という提案が動画を見ていた「視聴者」に伝わりやすく、そして「視聴者」はソフトの購入に走り「プレイヤー」になるのだ。
「塗る(スプラトゥーン)」「転がす(塊魂)」「叩く(太鼓の達人)」「踏む(DDR)」「繋げる(ぷよぷよ)」など、特定の動作一言でどういったゲームなのかを表すことができる作品は基本的にヒットにつながりやすい印象を受ける。
ゲーム制作者に望むこと
別に私はすべてのゲームが幅広い自由度とボリュームを備え、その中から遊び方を見出させるように作られるべきであるといっているわけではない。
そんなのばっかりだったら胸焼けしちゃうし。
例えば、極めて平均的な腕前であると仮定したひとチャプター丸々のプレイ動画を公開して、そのゲームにおけるリズムを把握できるようにするとか。最近だとMGSVがそういった「遊び方」の提示を行う動画を公開していた。あのプレイ動画を見て購入意欲が増した人は少なくないと思う。
製作者に求めるのは操作方法以上にその作品の遊び方、戦い方、ゲームデザインの意図、駆け引きはどの点なのかといった部分を、様々な手段で上手くプレイヤーに伝える点であり。それができれば、もっと「ゲームを遊び始めるまでの精神的なハードル」を下げることが出来るようになると思っている。
ゲームデザイナーは、しっかり議論や考察、試行錯誤を重ねレベルデザインを行っているはずなので、作成時の意図をもっと伝えるようにしてほしいなぁと、そう考える次第です。