GAME LIFE HACK

ゲーム生活、少し変えてみませんか?

結局のところ『レッド・デッド・リデンプション 2』はどういったプレイヤーにお勧めできる作品なのか?狂気的な作り込みを果たした今年最大の「事件」について語りたい

ビデオゲームにおいて、「面白い」とは大きく分けて2種類の傾向が存在すると分析することも可能だという話をしたい。ひとつは喉がひりつく様な高揚感を伴ったアッパー的面白さ、そしてもうひとつが知らぬ間にゲーム内に飲み込まれ継続し続けてしまう類のダウナー的面白さである。これら二つの面白さはひとつの作品内に重ね合った状態で存在しており各シーケンスによってその認識できる面白さの傾向が変化するスペクトラム的なふるまいを見せている。特に大型パッケージ作品になればなるほどこの重ね合わせの傾向は強くなる。
 

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画像は全てXBOXONEXでキャプチャーしたものを使用している
 
例えば大型ボスを討伐する系のハンティングアクションでは、素材集めその他の手続的準備を踏まえるシーケンスによるダウナー的楽しさと、格上目標相手の戦闘状態における短期かつ濃密な駆け引きによるアッパー的面白さが折り重なるように存在している。或いは昨今のトレンドのひとつとなっているバトルロイヤル系アクションシューティングは潜入行動や索敵や装備探索などのダウナー的楽しさと、銃撃戦をはじめとした敵との駆け引きによるアッパー的楽しさのグラデーションとなっていると考えることも可能だ。そしてこの概念は他にも音ゲーSTG、格闘アクションゲームでさえ実践の駆け引きと練習の操作精度向上の二つでこの二つの面白さの駆け引きが存在している。
 
(そしてこの観点から考えるとシンボルランダム問わずエンカウント方式のRPGにおいて、ストーリーと探索要素と戦闘システムが常に隣り合わせで存在するのはゲームプレイの感触の緩急を与えているとも解釈することが可能なわけだ。尤も通常エネミーとの戦闘を行うためのエンカウントを誘発させる理由付けとして機能させるためにそういったフィールドデザインが行われているのが大抵の場合の基本的な目的ではあるはずだが。)
 
このようにビデオゲームとはテンションのグラデーションによって粘りのある体験を得られるように作られている。
 
だがそんな中でも同時にしばしばこれら面白さの傾向が片方に寄り切っているケースも存在する。それは例えばシューター作品のキャンペーン部分であったり、数値の上下変動と睨めっこし采配を決めるシミュレーションゲームであったり、ワンセッションで濃密な時間を与える体感寄りのアーケード筐体作品など探せば幾らである。
 
そして本作『レッド・デッド・リデンプション 2』は劇的な演出を抑えつつ描写や操作の濃密さを切り口にしたダウナー的面白さに大幅に寄せた作品として極めて振り切り切った作品であるのだ。
 

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ありていに言えば「ひとを選ぶ作品」

というわけで『レッド・デッド・リデンプション 2(以下:RDR2)』を(アパラチアに寄り道しつつも)遊び続けて3週間以上経過した。本作は開拓時代が終わりつつある米国を舞台に、時代の流れに取り残されかけたギャング団の一員となって様々な依頼や抗争をこなしつつ苛烈な世界を生き延びていく作品だ。
 

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本作の特徴といえば何と言ってもその圧倒的ともいえるグラフィックの細やかさと各描写の追求具合だ。単純に美麗なグラフィックだけなら昨今の大型IPにおいては珍しくもない特徴であるがそれに加えて本作はインタラクト方面にまでその作り込みの細かさが実装されているのだ。そしてこの作り込みの細かさはゲームを遊ぶ上で良くも悪くも遊ぶ感触にまで大きく影響を与えてしまうほどだ。結果、本作の作りは極めて尖ったものとなっており、遊ぶ際に高確率で人を選ぶ作品に仕上がってしまっている。(じっさい本記事で書いたつもりの長所部分は人によってはそっくりそのまま短所として映ってしまっている部分が殆どだ)
 
なので本作についておススメする際は「ゲームの魅力を列挙」するよりも「どういったプレイヤーに本作が合うかどうか」という切り口で触れた方が良いのではないか?と強く感じた次第だ。
 
そんなわけで本記事ではストーリー部分については言及せずに(※言及できるほどの咀嚼力と語彙を持ち合わせていない)本作のシステムや描写周りの仕上がりの方面から、どういった方が本作を楽しめるかどうかについてを軽く1万文字程度ではあるが掘り下げていく文章となっている。 

ゲーム進行に関わるほどの表現力を楽しめるか

本作の特徴としてまず挙げる事が出来るだろう要素の一つが「過剰なまでの表現の細かさ」だ。昨今リリースされているゲームの動作や表現は基本的に傾向としてどんどん細やかなものになってきているが、本作『レッド・デッド・リデンプション 2』はそういった表現の細かさでが特に作り込みがゲームの操作性に影響する段階まで作り込まれている。
 

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例えば本作のアイテム取得周りの仕様についてを挙げてみよう。基本的にビデオゲームにおけるアイテムの特に取得する際の処理と言えば、大抵の場合回収ボタンを押下すると同時にその場でフィールド上からオブジェクトが消えインベントリ内に瞬時に収納される処理になっている場合が殆どだろう。もっと綿密に描写をするにしても屈み込んで取るなど「それっぽい仕草」が発生する程度だろう。だが本作『RDR2』はそういった些細な動作に関してもほぼ確実に細やかな動作が設定されている。
 

そこをこの『RDR2』では正確にアイテムの位置にまで腕が伸び掴み習得しカバンにしまい込むことではじめてインベントリに追加されるのだ。このアイテムを拾い上げる処理がゲーム的な都合ではなく本当にアイテムを拾い上げる動作として実装しているのが本作なのだ。

 
他にも採集系の動作でもこれら表現の細かさは適用されており、野草を摘むときは軽く選定の動作を行ったり、狩猟した動物の皮を剥ぐときはその剥ぐ様子まで細かく表現され、大抵の種類においてはカメラの切り替えによる誤魔化し無しに全ての解体作業が行われ、しかも毛皮一枚一枚ごとに馬に積む動作も必要になる。場合によっては一枚までしか積めない種類のアイテムも存在する。
 

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本作の狂気的な作り込まれた表現は処理的な都合が発生する場合以外毎度必ず挿入される。だがこういった表現は確かにゲーム作品において没入感を高める助けとなるのと同時に、ゲームプレイの進行を阻害する感じてしまうリスクも孕んでいる。
 
そういった表現や動作や操作の細かさをその都度楽しむことが出来るのか、それとも先に進む際の煩わしさとして避けたいのかは本作を楽しめるかどうかのひとつの基準の一つとして考える事が出来るだろう。
 
閑話休題その1:省略する重要性とは
インターフェースの快適さとは状態遷移の軽快さの度合いでもあり、つまるところ項目移動やメニュー選択などは短ければ短いほど良くなりやすい。というのは日常生活の中で画面による状態変化の確認を主とした精密機器を使用する中で実感出来る事柄だろう。
 
加えてビデオゲームにおいてこの快適さの根源となる操作性の軽快さが重要であると同時に、エンターテイメント作品として同時にどういった動作や操作を行っているかのフレーバーとしてのモーション設定は必要であるということも実感できる部分だろう。だがそういった装飾的モーション付けは必要とされる場合においても大抵は早い段階で省略されることが殆どだ。例え没入感を必要とした表現の細かさは実装するにしても快適さを重視する際にある程度の段階で省略されるのが基本的というわけだ。
 
例えば、過去のビデオゲーム作品において採取動作の細かさでまず思い出すものと言えば『モンスターハンター ワールド』になるが、あの作品においても基本的には移動中の収集や即時回収など絶妙にその動作が省略されており加えて綿密なモーションが適用されるのはキーアイテムや重要手掛かりの入手などで、つまるところ対象の重要度合いによってその省略具合が変化している仕様となっていた。(アクションゲームではこういった時間の差異が予備動作やモーションの重さ駆け引きの)
 

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そして表現の省略化やデフォルメ化を極限まで行い省略化を果たすことで濃密なゲームテンポを実現した作品の最右翼として『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』を挙げる事が出来る。アイテム取得はゼロ秒で行われ、弓矢で野生動物を射れば即座に肉になり、気候変化はダイレクトにHPに影響を与える、ストーリーは必要最低限で、音声関係も限られた範囲、さらに言えばトゥーン調で視認性を高めたデザイン性。『 ~ブレスオブザワイルド』はこのようにゲームとしてのボリュームを実装すると同時に可能な限りの省略作業が実装されている例としても極めて重要な作品というわけだ。
 
つまりある意味で『レッド・デッド・リデンプション2』と『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』のふたつはオープンワールドという大ジャンルの括りの中で正反対に位置する作品となっていると考える事が出来るわけだ。
 
閑話休題その2:本作のインタラクトシステムについて
『~ ブレスオブザワイルド』の話題を挙げたのでもう一つ。『RDR2』を語るうえで触れておきたいユニークな仕様として「Z注目システム(Z-targeting)」が実装されている事についても軽く掘り下げておきたい。
 
今更「Z注目システム」について説明の必要は薄いと思うが軽くおさらいしておくと、「Z注目」とは特定ボタンを押下しているあいだカメラ方向が常に敵やNPCの方向にロックオンされ距離に応じた各種インタラクトを行う事が容易に可能になるプレイ時の思考からカメラ方向の調整を無視し彼我の立ち位置と距離に考えを重視しやすくなる、時代劇はチャンバラにおける忍者の鎖鎌を絡めた殺陣を参考に実装されたビデオゲームにおける偉大な発明品のひとつだ。
 
だが同時に「Z注目」は昨今のビデオゲームにおける右サムスティックを用いた自由にカメラを動かす操作傾向が広まっていく状況の中、初期の「Z注目」の仕様のまま実装されているという作品は存外に少ない。たいていの場合は仕様の一部を切り出して実装されているというケースが殆どなのだ。
 
例えばボタン押下ごとに状態が切り替わるスイッチ方式が基本設定だったり、或いはロックオンマーカーの表示による注目点の提示と多少のカメラの遊びが残されるロックオンシステムとして実装されたりと時代に対応するように形式が変化している。昨今のビデオゲームにおいてチャンバラを目的に本来の仕様に近い「Z注目」を実装した作品としては『For Honor』が該当するだろう。
 
(尤も最新作である『~ ブレスオブザワイルド』では、『~ 時のオカリナ』時代の「Z注目システム」のもう一つの特徴であった「注目している敵以外の攻撃は待機される」仕様がすっかりオミットされているわけだが。)
 
そんななかで本作「RDR2」は昨今の3Dゲームにおいては珍しい、厳密な意味に極めて近い「Z注目システム」が積極的に採用されている作品のひとつでもあるのだ。
 
本作の操作システムで左トリガー(以下:LT)はADS(Aim Down Sight:覗き込み狙い動作)として機能すると同時に、敵やNPC等の対象に対して吸い付くように注目を行うZ注目としても機能しており、そのため本作の戦闘は、画面内の中央付近に敵が近寄った状態でを押下することで自動的に敵を検索、照準作業を行ってくれるのであとは右スティックで狙う位置を微調整しより少ない弾数で仕留めるといった流れで銃撃戦を行っていく形になっている。また近接武器を持った状態での格闘でもLTを引きつつXボタンで防御しBボタンで攻撃する状況判断を求められる駆け引きが発生している。
 
加えて何より『RDR2』の「Z注目システム」の何が特徴的かというと「インタラクトのトリガーとしてもZ注目が実装されている」という点だ、インタラクトとは主に非戦闘状態のNPCあるいは馬など生物に該当するオブジェクトに対してのありとあらゆる行動だ。
 

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というのも、本作でミッションの開始を含めた会話や物品の売買や会話そして馬の世話等を行う際まずLT押下で対象をロックオンし、そこからはじめてどういった要求や会話を行うのかの選択を行う形式となっている。これによって誰に話しかけるか等の行動を行う前にワンクッション安全装置が実装される形となるわけで、結果的に選択操作的方面において操作エラーを限りなく抑え込まれている仕組みとなっているのだ。(ただそれでも武器をしっかり収納してないと、ただ会話しようとしたさい不意に武器抜きを行ってしまい場の空気が一気に悪くなってしまう仕様だけはどうにかして欲しかった。武器ホイールから素手を選択することを常に意識するようにはしているが、特に敵対勢力に絡まれやすい郊外だと特にこの事故起きてしまうし・・・)
 
また先に挙げた近接戦闘時の防御と攻撃の割り振りは非戦闘時のインタラクト傾向においてもその割り振りが共通化されており、基本的にXボタンでポジティブな選択肢、Bボタンでネガティブな選択肢が割り振られている。例えば通常の会話ではXボタンは挨拶や会話でBボタンは挑発関係だし、店員相手の購入画面への移行もXボタンが割り振られ、宿屋における宿泊と入浴はそれぞれXボタンとYボタンに割り振られている。こういった割り振りによって自然と自分の抱いた感情や行いたい反応によって指を伸ばすべきボタンに迷いが少なく仕上がっているわけだ。
 
そしてこの会話時もLT押下で「Z注目」を行わせる仕様の何が画期的かというと、例えば移動しながらの会話でもしっかり相手と対面しながらやり取りが行えるという絵的にも機能的にも違和が少なくなるように仕上がるという部分だ。勿論一度会話用の反応ボタンを押下したあとにLTを押下してもしなくても問題なく会話が継続されるのだがそれでも対象を見失うことが無く捉え続けることが出来るという点で非常に有難い仕様となっている。
 

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このように共通化された選択肢傾向と本来の仕様に近いZ注目システムの合わせ技によって、通常操作時のインタラクトが円滑に行う事が可能かつ戦闘時と非戦闘時のボタン位置による反応の変化を直観的に認識しやすいよう設計がされているわけだ。前作『RDR』で見知らぬ人に挨拶を行うことが可能だった仕様を更に推し進めた仕様なわけである。
 

グラフィックも面白さとして見る事が出来るか

先に挙げた動作の細かさに関連する部分なのだが、本作は動作の細やかさだけでなく純粋にグラフィックの表現もまた異常なまでの作り込みが果たされている。冗談に聞こえるが本作はグラフィックを観るためのゲームでもあるわけだ。材質の質感から空気感、そして光沢に至るまでありとあらゆる部分の表現力凄まじく、おおよそゲームらしい表現といったものは可能な限り抑え込まれている。
 

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こういった細やか且つ作り込まれた風景を純粋に楽しめるかどうかもまた、本作を遊ぶ上で重要な部分だ。
 
草木の密度は勿論、泥には足跡がキッチリと描写され炎はしっかりと燃え広がり、雪原では押しのけた雪がしっかりと残る。銃器類は材質の質感の違いの表現の細やかさから手触りまで錯覚してしまうし、馬は走り続けると発汗から湯気が立ち上り身体も汚れる。目の前に広がる風景も多岐に渡り、穏やかな気候の草原から険しい山岳にうっそうとした密林地帯、そして雪原地帯とそのすべての風景が世界として作り込まれており、ひとつとして同じ光景は存在しない。
 

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そのため移動する際の目に飛び込む風景は常に絶景状態でキャプチャー操作の為のホームボタン+Yボタン操作はついつい行ってしまうし、本作はオプションを経由しなくてもUIをほぼすべて消した状態にすることが可能なので俄然風景としてゲーム画面を撮影しやすい点も非常に魅力的だ。
 
同時に本作のゲームスピードは全体的にスローテンポで、大半の時間は超長距離を馬で移動する場面に充てられてるどころかそもそもの移動速度が遅めに設定されてさえいる。加えてビューボタン長押しで遷移可能なシネマティックモードを用いれば半自動で大半の移動は行ってくれるほどに長距離移動がゲームの前提として組み込まれている。(感覚的には『FFXV』のレガリアを用いた移動に近いだろう。)ファストトラベル機能はある地点まで使用できず、解禁されても極めて限定的な機能に留まっている。
 

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そういったある意味で間延びしたゲームテンポを埋め尽くすように本作の表現は、当たり前のように存在が表現され同時に当たり前のようにディテールが濃く仕上がっており、それをひっくるめて「空気感が凄まじい」といえる作品であるわけだ。(過去に『Forza Horizon 4』でフォトモードをそれっぽく撮影する為の記事「現実の風景は存外に慎ましくそして同時に密度が濃い」といった話をした。ある意味で本作『RDR2』はその慎ましさと濃さの両立を目指したあるいはそう仕上がった作品であるように遊んでいて感じた。)
 

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そういったゲームとしての所謂「サクサク感」といったものが全く存在しない本作は時間の許す限り延々と遊ぶような「重い」プレイスタイルが必然的に求められる形となる。風景を眺めつつ野生生物や見知らぬ人気になったロケーションを発見し寄り道をする、あるいは誰かしら休憩している焚火の煙目指して向かうなど、とにかく風景そのものに情報が散りばめられている。
 
この世界の作りは何か体験を誘導するのではなく何処にいても世界が繋がったまま存在している現実感の表現として作られているのだ。
 

無駄を楽しめるか

近年のオープンワールド作品の御多分に洩れず、本作『RDR2』においても様々な寄り道要素が実装されてその作り込みは深いものとなっている。
 

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狩猟に始まり釣りやギャンブルやフィンガーフィレット、飲酒に食事、散髪は毛の伸び具合で可能な度合いが変化し、入浴に至っては手足どこを洗うかまで操作することが可能なほどだ。特にサンドニで堪能できるショーはその演目や展開が豊富で何度見ても楽しめるほど凝っている。
 

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アクティビティ以外にも只の買い物でもカタログから一括で買う以外に店頭商品から手に取って情報を確認し購入することも可能だし、銃器店では細やかなカスタマイズが可能で性能に影響のない部分まで装飾を加えることが可能だ。高貴な銃に彫刻(エングレーブ)を施しても何の戦術的優位性(アドバンテージ)もない。
 

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だが基本的に本作のアクティビティはそのバラエティが多岐にわたる反面、大きく稼げるというものはほぼ存在しない。
 
効率を重視するのであれば馬上で服装切り替えを行えばよいし纏め買いしたいならカタログでボタン連打すれば済む、そして銃器は高性能なもの一つ買えばストーリーの進行に特に問題はない。狩猟やギャンブルもそこから得られる稼ぎはどれも1~10ドル程度の上下に留まっており、数百~数千ドル規模の稼ぎを行いたい場合はメインクエスト絡みの強盗行為を行う方がはるかに効率が良い。
 

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このように本作の拘ってた演出や操作周りはそのかかる手間や時間に反して得られる効果が薄いものが殆どである。ぶっちゃけ効率重視するなら無視することが可能なものばかりだ。こういった無駄な要素を楽しめるか、もっと言えば「ごっこ遊び」としてのめり込むことが出来るのかといった部分も本作を楽しめるかどうかの判断基準になるだろう。
 
(こういった部分も『FFXV』の「ファンタジーアクションRPGとして見るか、キャンプメインの友人4人組卒業旅行として見るか」で評価が分かれたあの感触に近いと個人的に感じた。写真撮影が作品のメインシステムのひとつとして存在し、宿泊や食事が毎回必ずゲームプレイの要素として実装されていたし、何より超長距離を移動する自動移動システムの実装具合も本作に極めて近く、無駄を楽しめるかどうかがそのまま作品の相性に繋がる類の作品だったわけで。)
 
 

上位機種を持っているか

さてここまで本作の描写の細やかさについて挙げたのだが、そういった要素を楽しむために地味に望ましいのが、4K環境FHD環境関係なく第八世代据え置き機の上位機種(XBOXONEならONEX、PS4ならProをだ)を所持しているかという点だ。
 

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本作はその圧倒的な表現力を実現するためにハードを酷使している作品となっている。炎や密集地帯の表現になると普段静かなONEXから冷却ファンの音が上がる程だ。そして通常本体で本作を起動させると影を始めとした表現のいくつかが簡略化され、ポリゴンの輪郭や密度も聊か見劣りしてしまう。自宅の環境でONEとONEXを同時運用し比較してみたが、特に本作『RDR2』はEnhancedされた際の効果が大きく変化している作品のひとつだと思えた。

 

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なので本作を遊ぶなら上位機種を所持している方が望ましいし、逆に既に上位機種を持っている人は本作で性能を酷使するのも悪くないだろう。(恐らく将来的にリリースされるだろうPC版においてもRTX2000台でようやく標準環境な要求スペックになると思われる。)
 
スペックを最大限に引き出すためのプログラムより、プログラムを最大限に引き出すスペックが必要というわけだ。
 

主人公の立ち位置を受け入れる事が出来るか

本作のストーリー部分に関してももまた人を選ぶ仕上がりとなっている、というのも良くも悪くも本作は前作『RDR』以上に、ロックスター・ゲームス(以下:R☆)っぽいキャラ付けとストーリーなのだ。
 

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『RDR2』は正義或いは義理を貫き通すことが可能なゲームには仕上がっていない。前作『RDR』では主人公ジョン・マーストンは政府の手先という立ち位置もありかつての仲間だったギャングを手にかけその過程で人助けをし高潔な義賊を演じることは容易だった。
 
だが本作は話としては前作より過去のに位置しており、最終的に壊滅するであろうギャング団に属した状態で物語が展開される。つまり話の土台時点で正義の味方になる事が出来ないように仕向けられているのだ。その状態で時代の流れを実感しながら今のままでいいのかの悩みを抱えながら話が展開されるのが本作の肝の一つなわけだ。
 

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向こうの事情などお構いなしに借金を取り立てるし、気軽に強盗も持ちかける、盗みも働くし、苛烈な報復も行う。そして得たシノギをギャング団の金庫に納める。(いちおう本作では収めたお金は、予算としてきっちりとギャングの拠点構築や消費アイテムの補充に割り当てられるのでそこらへんはゲーム的な都合で上手く回ってる)勿論義賊として高潔な態度をとることも可能だがあくまでフリーローム時の一要素に過ぎない程度に抑え込まれている。
 
銀行強盗や馬車強盗に関しても「この辺にぃ、美味い銀行屋の支店、あるらしいっすよ」といったノリで日常生活の延長で持ちかけられ、気が付いたら銃を構えてカチコミしてることも珍しくない。犯罪を行う際はしっかりマスクをするなどして可能な限り目撃者を少なく抑え込んでおこう。
 

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このように本作『RDR2』のストーリーやキャラ造形は前作と方向性が変わっており、人によっては違和を憶えやすい部分であると考えられる。賢しい小悪党として西部世界を駆け巡ることに魅力を憶えれるかどうかは重要なポイントなのだ。そしてまだ『RDR』『RDR2』のどちらも遊んでない状態で、開拓時代アメリカを英雄好漢として通りすがりの仏の慈悲と渡世の仁義を果たしたいので場合は前作『RDR』の方をお勧めしたい。Enhanced対応含めて互換対応もしてるので高解像度で現行機基準で遜色なく遊ぶことも可能だし。
 

まとめ

本作は膨大な予算と人員と製作時間と現行技術の総動員で、ゲームとしての表現の嘘を、極めて可能な限り避け何処までも作り込みが込められた作品である。そしてそれだけのリソースが費やされた本作は同時に「ゲームらしさを捨て去ってもなおゲームとして楽しめるのか」といった問いかけにもなっている。
 

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そして「凄い」ゲームと「面白い」ゲームとは必ずしもイコールではない。「凄さ」は比較的絶対的な基準だが「面白さ」については遊ぶ人間によって変化しやすい相対的な基準だからだ。
 
ビデオゲームという根本から虚構で構築されている世界で可能な限りの五感を構築した『レッド・デッド・リデンプション 2』は、無条件に誰にもお勧めできる作品からは程遠いがそのぶん好みとして噛み合わさった際に発生する没入感もまた極めて大きいので本記事を読んで興味をもった人は遊んでみるのを検討してみて欲しい。
 

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余談:どうしても辛かったら鞄の強化を目指そう
本作のリアリティ志向はインベントリのキツさにまで及んでいる。
 
初期状態だと各アイテムは数個程度までしか収納できないのだ。もちろんゲーム進行的には多少きつい程度でプレイの阻害感は薄いのだがそれでも長期間買い物しなくても済むくらいのアイテム収納はあると遊びやすさが一気に変わる。
 
なので本作を遊んでいてどうしても大変と感じたならば、キャンプ拠点で装備強化可能な施設を作成し、鞄の作成を行うことをお勧めする。
 
そしてひととおり鞄作成した後に製作可能になる最終強化鞄はそれぞれアイテムを最大99個まで収納できるようになるので、遊びやすさに大きな差が生まれるだろう。特に敵対勢力の拠点にカチコミした際、その場にある消費アイテム類を洗いざらい回収しきる事が出来るのは非常に大きい。ストーリー進めつつ狩猟も行っておくと良いだろう。
 
必要な素材は以下の通りだ。これだけまず集めておけば一気に最終強化まで持ち込む事が出来る。
 
鹿の毛皮×7
エルクの毛皮×2
 
雄鹿の毛皮×1
アライグマの毛皮×1
ウサギの毛皮×1
イノシシの毛皮×1
クーガーの毛皮×1
狼の毛皮×1
ヒョウ/パンサーの毛皮×1
イグアナの毛皮×1
ビーバーの毛皮×1
 
バイソンの毛皮×1(大型につき持ち運び制限あり)
アナグマの毛皮×1(大型につき持ち運び制限あり)
 
リスの毛皮×1(インベントリ内で解体操作が必要)

 

ブラックウォーター(金銀で言うところのカントー枠)にまで行かなくても入手できる素材ばかりなので集めてみても良いだろう。素材関係は拠点の料理担当のピアソンさんに寄付すれば自動的に素材として保管されるので回収したら即拠点に戻るようにしよう。