GAME LIFE HACK

ゲーム生活、少し変えてみませんか?

『スターフォックス ゼロ』が素晴らしい出来だったって話をしたい

良いゲームだと感じる理由に「遊んでない間もその作品の攻略について考えてしまう」というのがあると自分は思っている。今回記事として書いた『スターフォックス ゼロ』もそんな一本である。
 

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本作は数年ぶりのスターフォックスシリーズの新作なのだが、様々な意欲的な要素が取り入れられており、ピーキーながらも大変楽しい操作感とゲーム性に仕上がっていた。なので5000文字くらいかけて全力でオススメしてみた。つかれた。
 
 

どんなゲームか?

WiiUで遊ぶ「新しい」スターフォックス

スターフォックスアサルト以来の据え置き機でリリースされた本作『スターフォックスゼロ』はWiiU向けに開発されたこともあり、様々な意欲的な試みが行われている。

 

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ジャイロによるエイミング、2画面での異なった視点を駆使したドッグファイトゲームパッドから聞こえる立体音響による通信、2本のスティックを用いた新しく快適な飛行方法など、WiiUならではのギミックを活かしきった全く新しいスターフォックスとして仕上がっているのだ。

 

開発は任天堂プラチナゲームズの共同、しかも宮本茂が直々にディレクションを行い作り上げたものである。

 

「変形」するアーウィン

本作の大きな特徴のひとつとして「変形」が存在する。アーウィンランドマスターがそれぞれ別形態に変形してしまうのだ、64時代のデザインそのままから。

 

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これによって、例えば戦艦の中に突入して可変して内部から破壊したり、敵機体の下部から集中砲火を食らわせ上空から爆撃でトドメを行うなど、陸と空をそれぞれ異なった特徴で臨機応変に戦うことが出来るのだ。

 

ちなみに本作のアーウィンはじめ可変機体を中心としたメインのデザインは柳瀬敬之が手がけている。氏の破綻なしに組み上がったメカデザインは見事しか言いようが無い。加えて海老川兼武も一部メカデザインを担当していたのには驚いた。

 

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スターフォックス64新劇場版」

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スターフォックスゼロ』は純粋な新作でも、64版のリメイクでもない。ゼロから作り直した故の『スターフォックスゼロ』なのだ。

 

使われているキャラクターや舞台は64時代のそれなのだが、内容は徐々に大きく変化した出来となっている。例えるならスターフォックス64を新劇場版的に再構築した具合なのである。

 

特に気に入ったところ

「手元で」楽しむVR

スターフォックスゼロ』は三人称視点とコックピット視点ふたつの視点が、テレビ画面とゲームパッド画面それぞれに60FPSで表示される仕様となっている。これによって全体の状況把握をテレビで、より細かい照準をゲームパッド側で行うといったゲーム性に仕上がっている。
 

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また、ゲームパッド画面側はジャイロでの操作で狙いを行う形式になっているのだが、ゲームパッドの傾きとのシンクロ具合が極めて高く仕上がっており、まるで手元でVR画面を楽しんでいるような感覚を楽しむことが出来る仕様となっている。しかもジャイロコントロール出来る。
 
しかもジャイロによる視点の変化のシンクロ具合のおかげで、所謂「画面酔い」も起きにくく出来上がっている部分も嬉しい点である。
 

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分かれば分かるほど楽しさが増す「操作性」

先に書いたとおり『スターフォックスゼロ』では、ジャイロを用いた照準システムが採用されているのだが、これに加えて基本的なスティック周りの操作も一筋縄ではいかず、その分慣れると絶妙に馴染む調整となっている。
 

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というのも左スティックで上下左右への移動は何時も通りなのだが、右スティックで加減速はじめ拡張的な機動、例えば「ブースト (右スティック上)」「ブレーキ (右スティック下)」「左右傾き (右スティックの左か右)」「ローリング (右スティックの左か右二回入力)」の操作を行うという仕様になっているのだ。
 

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また、左右のスティックの組み合わせで「宙返り (左スティックを下、右スティックを上)」「反転 (左右スティックを下)」「左右への急旋回 (左右スティックを同一方向に左か右)」といったお馴染みの操作も行うことが出来る。
 
(一見複雑に見えるが基本的に右スティックは「進行方向に対しての拡張的な操作」となっており、実際にプレイすると割とスンナリと馴染みやすい仕様となっているので安心だ)
 
これによって、親指は常にスティックを保持し、人差し指は左右のZトリガー、そして手首と腕全体でゲームパッドの傾きの制御を行い、しかも視点は手元と画面を適宜交互に確認するため、「体で機体を制御する」という操作感を味わうことが出来るのだ。
 

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本作のこれらの操作は機体を直感的に操作できるし様々なゲーム内の状況に対して機敏に対応してくれる、のだが「反応がとても良い」為最初のうちは「機体に振り回される」感触を味わうことになるかもしれない。
だが、その分慣れれば慣れるほど「ピーキーな機体を使いこなす快感」を味わうことが出来るだろう。
 
スターフォックスゼロアーウィンはじゃじゃ馬なのだ。
 
ちなみにランドマスターの操作もアーウィンのそれと同じように新しく練り直された仕上がりとなっておりこちらも大変楽しいし、ブルーマリンの代わりに実装された有人ドローンであるジャイロウィングはダイレクトアイという有線ロボットの実装もありこちらも新しいプレイ感を楽しむことができるのでオススメである。
 

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フライトシューティングで「Z注目」を使う新しさ楽しさ

「Z注目」システムとは、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』で初めて実装された「ボタン押下中、特定の敵に常に注目し続ける」事が可能になる所謂ロックオンカメラシステムのことで、ビデオゲームの歴史において革新的なシステムの一つである。
(厳密には注目している敵以外が攻撃を「しなくなる」という点も重要なのだが)
 
フライトシューティングゲームである『スターフォックスゼロ』に、この「Z注目」が本格的に導入された事は、プレイ感覚を全く新しい物へと進化させた。
プレイ感覚を更に独特なものに仕上げている。
 

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まず大型のボスに対しては対象の位置や様々なボスからの攻撃などが俯瞰された状態で画面に映し出されるため、攻撃の襲来を察知しやすいしこちらからの仕掛け時を見極めやすい。そして特定の場面でのドッグファイトでは、注目対象が常に高速で動くためもう画面が動く動く。
 

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この「Z注目」システムは「分かりやすさ」と「迫力」どちらにおいても絶大な効果を発揮してくれてるのだ。
 
ところで「Z注目」を導入したことによってTV画面上では全体の状況認識が格段と楽になったが、その分正確な射撃が難しくなり機体もラジコン操作に近くなるため操作が難しくなってしまう。
 
そこで生きるのがWiiUゲームパッドに映し出されるコックピット視点だ。上部の画面でおおまかな状況を把握しながら、ゲームパッドの画面で正確な狙いを目指すといった「現実世界での」視点の切り替えが独特のゲーム性を生み出している。
 

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※追記と補足 (2016/04/26)

本記事を書いた後、「特定のターゲットに対しての注目システムそのものは過去のフライトシューティングにも存在していた」という意見を頂きました。そこで初めて本作のZ注目が過去作の、特に『スカイガンナー』は「敵ナビシステム」に近いものであると執筆後まで失念していました。

 

その点についてお詫びと同時に補足の方をさせていただきます。

 

本作に実装された「Z注目」は「敵を補足し続ける」という目的の為の機能としての側面が強く、また敵への狙い定めやフライト時の制御のしやすさに関しては完全にゲームパッドでの視点やジャイロ操作によって行われます。

 

このそれぞれが独立した操作感は先に出ていたフライトシューティングとはまた異なった飛翔感を楽しむことが出来るわけです。

「丁寧に」緊張感の増した基本仕様

本作のレーザーのパワーアップは従来通り「シングル→ツイン→ハイパー」の3段階強化なのだが、最大強化であるハイパーレーザーは二回被弾したらツインレーザーに戻ってしまい、強力なぶん今まで以上に被弾を避けなければいけない仕様になった。

 

また、ゴールドリング3個での機体の耐久力増加も無くなったため結果的に機体の耐久力は柔らかいままとなっている。しかし、その分シルバーリングでの回復量の上がり幅が増してるため、要所要所での攻撃の防ぎ方が重要になっている塩梅に仕上がっているのだ。
 

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ちなみに本作は過去作に採用されていた「翼の破壊」要素がオミットされてるが、実際遊んでいると寧ろ煩雑になりそうに感じたので之を無くしたのは正しい判断に思えた。翼破壊のパワーダウンは先のハイパーレーザーの仕様に引き継がれてるわけだし。
 
加えてダメージを喰らいすぎると機体表面がボロボロになる演出が入ってるので、遊んでる間の視覚的な緊張感は損なわれていないのでごあんしんください。
 

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実際遊ぶと実感できる「シンプルに美麗」なグラフィック

本作のグラフィックに関して、モデリング自体はスターフォックス64のそれを踏襲した極めてシンプルな作りとなっている。
 

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それだけ聞くと見た目はそこそこなのではないかと思われがちだが、ライティングやシェーディングが丁寧に練り上がっており尚且つフレームレートが60FPS×2画面となっている為、実際に遊んだ際の迫力や疾走感の高さはもう素晴らしいものである。
 
また画面がワイド化して、先に挙げた照準システムやZ注目の恩恵もあり、独特の開放感や浮遊感を楽しむことが出来るのだ。特にオールレンジモードで加速した際の広々と感覚は無類である。ここまで「ふわりと飛び上がる」感覚を体験することが出来る作品は早々出てこないだろう。
 

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必要最小限十分に抑えられた「会話とキャラ付け」

スターフォックスシリーズはアドベンチャーからコマンド辺りで作品が(話やゲーム性含めて)迷走してしまった点が少なからず存在した。
 
その為3DSにてリリースされた64リメイクにて一旦仕切りなおしに近い対処が行われたのだが、本作はそこからさらに64の世界線を元に新たに構築しなおし作りなおされたものとなっている。
 

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殆ど64時代のキャラクターだけを用いて話を再構築し、世界観もほぼ64時代のそれを踏襲したそれとなっている。それでいてゲームのレベルデザインや仕上がりは新しいものとして出来上がっており、過去作品を触れてきた人でも、そしてこれからスターフォックスに触れる人どちらにも楽しめる出来となっているのだ。
 
また、ニヤリとできるセリフが多いのも魅力の一つだ。

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また、宮本茂監修のおかげか、会話周りも必要最低限に抑えられており、実際遊ぶ際にムービーやカットシーンなどの非プレイ領域部分からゲームプレイを阻害されるといったことは殆ど無いように仕上がっている。
ここでも二画面が活きてるのだ。
 
本作の仕切り直しはまさに「ゼロ」からの再スタートなのである。
 

どんな人におすすめか

「新しい操作」を求める人

ここまで読んでもらって分かる通り、本作『スターフォックスゼロ』は操作系を零から刷新しシューティングのそうさを再構築したものである。その為過去作に慣れてる人ほど本作の操作方法に戸惑いを覚えるかもしれない、受け入れ難いかもしれない。
 
だが、それでも、その上で、アタマの切り替えを行ったうえで臨んだ際の本ゲームの操作性の調整や塩梅は、かつて無いほど親和具合が高く仕上がっている。
 

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任天堂は過去にも三人称シューティングゲームの再構築や新たなプレイ体験を模索してきた。
 
例えば、第七世代据え置きや携帯ゲーム機で発売された作品だけ見ても、ボタン操作とスティック入力に加えてリモコンによるエイムを実装した『罪と罰 宇宙の後継者』 、携帯機での立体視とタッチペンでの狙いを行う『新・光神話パルテナの鏡」、そして塗リ倒すことをゲーム性に昇華しゲームの歴史に新たに名を残した「スプラトゥーン」など、様々な作品からそれを見て取ることが出来る。
 
どの作品も、本来提案されている操作方法を使いこなすことで全く新しいプレイ体験を楽しむことが出来る仕上がりとなっている。そして『スターフォックスゼロ』も例外でなく「新しい操作」を受け入れることで新しいゲーム体験を堪能することが出来る作品になっているのだ。
 

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ゆえに本作は「新しい操作感」を求めている人には特にうってつけの作品と言えるだろう。
 

「骨太なシューティング」に挑戦したい人

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本作は一筋縄ではいかない難易度となっている、序盤はまず本作特有の操作に慣れる必要があり、操作に慣れてきた中盤や後半にかけて純粋な難しさと忙しさでプレイヤーに襲い掛かってくる。

 

だがここは任天堂製、攻略方法が分かれば一気にスンナリと進行しやすくなる攻略の推理要素も備わっているのがまたニクい。加えて基本的な手触りの快適さに関してもプラチナゲームズのアクションゲームならではの出来となっているため、攻略過程も大変楽しい。

 

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また、この手の奥スクロールSTGでは破格のボリュームの豊富さも魅力で、単純なステージ数の多さ、隠し面、裏ルートなど様々なレベルが用意されている。特に隠しや裏ルート、そして「作 戦 完 了」を目指そうとするのは更に歯応えのある仕上がりとなっている。

 

任天堂プラチナゲームズからの挑戦状『スターフォックスゼロ』、新しいゲーム体験を求めてる方に是非とも遊んでみてほしい銘作である。

 

 

 

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