GAME LIFE HACK

ゲーム生活、少し変えてみませんか?

絶対に滑らない『スーパーマリオオデッセイ』のお話、或いは3Dアクションにおける「地形」の歴史について

まず最初に白状すると『マリオオデッセイ』について、何かしら感想めいた記事は書くつもりはなかった。
 
というのも、まず発売されたら遊ぶことに専念してしまい文章を認めてる暇なんか出来ないだろうと薄々予想はしてたし実際そうなってるし、加えて本作は事前情報やインプレッションの時点で明らかに名作の予感ぷんぷんだったし、今年のGOTYはマリオかブレワイかといった様相を呈してるし、今までの集大成として出来上がった3Dマリオである本作について今更自分が語ることなどないだろうしと、そう思っていたからだ。
 

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しかし残念なことに面白い作品というモノは遊んでいくにつれて、その出来上がりの精巧さを実感させられ、気付いたものは思わず片っ端から誰彼構わず語ってしまいたくなり、過去作を振り返りながら本作を遊んでいると更なる発見が存在し、そういったのが積み重なるともう所構わず書き連ねその中で核になりそうなものが出てきてしまうと、そこからとっかかりが出来てさらなる「気付き」が出てきてしまう事が殆どだ。つらい。
 
こうして遊んでいて「気付き」が出来てしまったらとりあえず(公開するかしないかは別として)文章に纏めたくなるわけで、そういうわけで遊ぶことに専念したい欲望を泣く泣く我慢して文章にまとめてみたら意外と文字数溜まってしまったので、それなら体裁整えて今回の記事に仕立てや・・・仕立てあげてやんだよというアレで出来上がったのがこの記事です。
 
今回の記事では「滑る」という動作や操作そこから読み取ることが可能な3Dアクションにおけるひとつの切り口を分析していきたい。加えて、3D箱庭マリオ最新作である『スーパーマリオオデッセイ』においてこれらの要素が「転がる」というアクションに置き換わった事でどう変化したのか、という部分についてを語っていきたいと思う。
 

『シャドウ・オブ・ウォー』が実現した「自らの手で物語を作る」というナラティブデザインについて語りたかった

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ゲーム作品において本当の意味で「プレイヤーの数だけ存在するシナリオ」というのは実現可能なのだろうか?
 
この手のキャッチコピーは自由度の高さアピールとして存在する謳い文句だが、殆どの場合はその選択肢の掛け合わせによる単純計算での掛け算であるというケースが往々に存在しており、結局のところその表現の幅というのは極めてコンパクトに収まっているのが現状である。
 
また「ナラティブ」という言葉が市民権を得ている昨今ではあるが、大抵はNPCやギミックが織りなすハプニングやアクシデントを指したものであることが殆どを占めることが多いだろう。プレイヤーの目の前で展開される物語というのはつまるところランダム発生のイベント、AIパターンの掛け合わせでしかないというケースは往々にして存在する。勿論これはこれで十分凄いし、基本的には短期的なそれらだけで遊んでいる際は満足出来てしまうことが殆どだろう。
 
しかし、物語としてのナラティブ、つまりセリフや名前のあるキャラクターを絡めた物語生成という物まで考えていくとシヴィライゼーションをはじめとしたシミュレーションゲーム以外で実現している以外には、存在しているとは中々言い難いのが現状である。現状、物語としてのナラティブは盤面を見下ろした際のコマの動きの組み合わせとしてしか楽しめないというのが大抵の場合なのだ。
 
ゲーム作品において「自由度の高いオープンワールド」とはなんだろうか?
 
例えば『マインクラフト』なら無制限に広がるフィールド上のありとあらゆるオブジェクトに対して恒久的な変化を加えることが可能で、その世界で狩猟や農耕、探索そして建設などを駆使して生活するという方向で究極の自由度を実現している。また『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』ではオブジェクトに対して属性を付することによってより自由度の高いエレメントの組み合わせによる遊びの幅の拡大に加えて最終ボスへの到達すら開始直後にアプローチできるほどの「アプローチやミッション構造によるプレイ時間の自由度の幅」を確保することでプレイヤー自らが作り出すシナリオという、オープンワールドである理由が納得できる自由度を確立することに成功している。これらが所謂自由度の高いオープンワールド作品の決定版として成立している事に疑いの余地は恐らくないだろう。
 
だが、こういったアプローチ以外で、オープンワールド作品がオープンワールド作品である意味があるほどの、それが広大な収穫場やアスレチックであるだけではない、オープンワールドである理由を説明できるシステムやシナリオ構造を用意したオープンワールド作品を作ることは実際のところ可能なのだろうか?
 
もちろん存在する、それが今回紹介する『MIDDLE-EARTH: SHADOW OF MORDOR』とその続編『MIDDLE-EARTH: SHADOW OF WAR』なのだ。本作は指輪物語フランチャイズのゲームという立ち位置だが正直なところ原作を知らなくてもゲーム内だけで目的や目標がハッキリしており、単体として面白い仕上がりとなっている作品だ。
 
今回は、『シャドウ・オブ・ウォー』と前作『シャドウ・オブ・モルドール』が「オープンワールドアクションRPG」というフォーマットに於いて「ストーリーテリングとしてのナラティブ」という課題はどのように実現できているのかについて語っていきたいと思う。
 
 

【分析】 ニンテンドースイッチのジャイロ操作はなぜ画期的なのか?FPS/TPSにおける視点移動問題とその解決法

ゲームパッドを用いたFPSやTPS等のシューター作品が広く遊ばれるようになってかれこれ20年近い時が経った。特にその中でも、別の機能を持ち合わせた左右のスティックを同時に操ることで3Dフィールド上を見回し駆け巡るという操作体系は、もはやデファクトスタンダードになっていると断言しても過言ではないだろう。
 

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だがこの操作体系、分かりやすさを含めた手軽さの代わりに解決すべき問題が幾つか存在するのも事実である。その問題点は明確に原因が分かっていても解決が難しい類のもので、小手先では様々なアプローチが取られているが根本的な解決には至っていないのも事実である。
 
今回はその問題に対して根本から解決しようとしている例のひとつをこれから分析していきたいと思う、その例とは「ニンテンドースイッチ」に搭載されてる「ジョイコン」のことだ。
 

【分析】 「機能の集約と変化」から見る『ギアーズオブウォー』の操作デザインについて

ビデオゲーム、特に3Dポリゴンのゲームの歴史は常にカメラとの闘いの歴史でもあった。プレイヤーを主観ないし俯瞰で捉えるカメラとプレイヤー自身の動きの制御に数十年ものあいだ開発者は悩まされてきた。加えてカメラ操作の自由度向上による操作の煩雑さ以外にも武器の交換やリロード、殴り、射撃、ダッシュ、しゃがみその他諸々の操作なども増えてきている。
 

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「出来る事が増えればやるべきことも増える」これはゲームシステムのデザインにおいても同様で、動作に対しての操作の複雑化というのは避けるのはなかなか難しい問題なわけだ。
 
今回の記事はそういった操作デザインの複雑化に対して「機能集約」という形で対応を行ったケースを分析していくものとなっている。そのケースとは何か?「ギアーズオブウォー」の操作体系についてである。本作品がどのように機能集約を行って操作の多様性を実現したのかをこれから切り込んでいきたいと思う。
 

【紹介】 ニンテンドースイッチを買った際にとりあえず入れておきたいDLソフト10本 (2017年7月版)

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ニンテンドースイッチの発売から4か月が経過した。その間、任天堂を先頭に大型タイトルが幾つも発売されてきたわけだがその合間を縫うように様々なDL専用タイトルもリリースされてきた。

 
これから本体を確保する人に向けて、とりあえず入れておきたいお手軽に箸休めにサックリ楽しめそうなタイトルを紹介したいと思った。
 

【雑記】 カードゲームと対戦アクションを融合した怪作『ファントムダスト (Win10/XBOXONE)』について、作品の紹介と序盤の解説をしようと思った記事。あと今使ってるデッキ構成とか

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先日、Windows10とXBOXONE向けにリマスター版『ファントムダスト』が配信された。しかも無料で、解像度以外初代XBOX版そのまんまで。

 

本作は「パンツァードラグーン」等を手掛けた二木幸生氏が先頭に立ち開発された作品だ。廃墟となった日本を舞台に記憶の残滓を辿りながら様々な特殊能力を駆使し世界の謎を追いかける、といったお話の割とポストアポカリプスな対戦アクションゲームで、カードゲームの要素をシステムに組み込んだ奇抜ながら大変奥深いゲーム性を兼ね備えている作品となっている。

 

自分自身も過去に分割ではあるがクイックデッキを用いた対戦で大変盛り上がった記憶があり大変思い出深い。

 
そんな本作だが反応を検索して眺めてみると(案の定ではあるが)「よく分からん」「難しい」「2章ボスが倒せない」等といった声をチラホラ見かける、自分自身も詰まったり引っかかった部分でもあるためその気持ちは大変分かる。分かるので今回そういった人たちに少しでも助けになればいいなぁという下心で記事を書こうと思ったワケだ。
 
遊び方が分からないうちにやめてしまうのはちょっととても勿体無いと感じるし、引っ掛かりを解消したらその勢いでハマってくれる人も何人か出てきてくれたらそれは嬉しいなぁと思うわけで。ゲームとしてはキャンペーン三章序盤くらいを想定した感じになるのかな?とりあえず自由にデッキを組めるようになるまで周辺です。
 
あと記事の構成は、前置き部分は「そもそも遊ぶかどうか悩んでいる人向け」の概要を伝える解説で、本題と余談部分は「DLしてみて多少なりとも進めてみてる人向け」の解説といった塩梅に仕上がった記事となっている。 

【考察】 なぜ『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』で武器は壊れるのか?「投資の駆け引き」というゲーム性についての話

ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』が今年リリースされた作品に留まらず、ここ数十年の間に発売されたゲーム作品のなかで最高傑作であることは遊んだ誰しもが疑う余地のない事柄であるだろう。
 

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だが、ブレスオブザワイルドが名作として機能している大きな理由とはどの部分から来ているのだろうか?
 
この部分を考える度自分の場合、圧倒的に丁寧な作業の積み重ねに埋もれてしまい、本質的な面白さの核に行きつかないため微妙にもどかしい気分になってしまっていたのだ。
 
面白いことは疑いの余地が無いのだが自分が面白と感じてるのはほんの表面的な部分なのではないか?真にプレイ時間が吸い取られている原因はもっと奥の奥の奥底の根底に横たわっているゲームプレイ構造から来てるのではないか?と考えてしまっていたのだ。
 
何処までもアクセスできる広大なフィールド、様々な方法が存在する戦闘システム、物理エンジンと化学エンジンの芸術的な融合、最小限に抑えプレイヤーのナラティブ性に大部分を委ねたストーリーテリングの絶妙さ、物理ミニパズルの形式を取った発想の瞬発力による緩急が成立しているダンジョン構造、可愛らしさと凛々しさの両立が成立しているキャラクターデザイン、そして純粋に美しい風景描写、これらの要素は確かに本作を名作から傑作に押し上げる要素として成立しているだろう。ではそれらを取り纏める遊びのキモとしてどういったメカニズムが根底に潜んでいるのだろうか?
 
自分は本作を遊びながらゲーム内の謎解きとは別の、ゲーム作品そのものにかけられた魔法について延々と考えつづけた結果、ある一つの推測に行きついた。
 
 
キーワードは「投資」「収益」である。
 
 
今回は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』について、「投資する」という概念からそのゲーム性を分析してみたいと思う。