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追われに追われて一人きり、LIMBO開発チーム最新作『INSIDE(インサイド)』は更に進化した衝撃作だった

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極力まで情報を削ぎ落とした「シンプルなデザイン」は一見、制作が容易で見てくれも保てるものであると思われがちだ。
 
だがその手のデザイン手法は逆に言えばその「一見数少なく見える要素」で「語らなければいけない」訳なので、実は表面上を真似することはできても人の記憶の根幹にまで届くものを作り上げるのは通常のそれと比べると輪をかけて難しい。
 
厳選されたオブジェクトに情報量をさり気なく加味し続ける必要があるシンプルなデザインこそ実は物凄い手間や調整がかかっているものなのだ。
 

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ゲームにおいてもその傾向は例外でなく昨今の個人製作やインディーズゲームで使われる手法であるローポリゴン、フラットシェードなどのシンプルなデザインは一歩間違えれば「手抜き」に見えてしまうリスクも少なからずはらんでいる。
(残念なことにそういった作品に少なからず遭遇したことがある)
 
だが、それでも、極力まで情報をそぎ落とし人の記憶に留まる作品というのは、確実に存在する。
 

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今回取り上げる『Inside(インサイド)』も、その数少なく、尚且つ頭ひとつふたつ以上に飛びぬけた2Dパズルプラットフォーマーであった。
 
2016年6月29日にXBOXONEで配信され、PC版の発売も2016年7月7日にSteamにて配信が決定しているPlaydead最新作『INSIDE(インサイド)』。価格は1980円。謎解き含めた総プレイ時間は3~4時間程度。
 
自分の場合、更に北米からの購入が容易になったので折角だからと一足お先にXBOXONE版で遊んだところ、自分の予想をはるかに飛び越えた作品で大変な衝撃を受けた。
 
なので今回、大まかではあるが感想というかオススメ記事なんかを書こうと思ったわけだ。
 

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なお、本作は事前知識が無ければ無いほど衝撃度合いの上り幅が凄まじいので、今回の記事において具体的な内容については踏み込まないでおくようにする。本記事で使用している撮影したスクリーンショットも、E3 2014とE3 2016にて公開されていたトレイラー部分に近いものを使用しているので、クリティカルなネタバレは存在しない・・・ハズである。
 
だが、出来ることなら本記事「すら」見ずにそのまま購入に走って遊んでみてほしい、特に終盤の展開は自分の目で確かめてみてほしいのだ。
 

残酷なまでに美しい「悪夢」

本作を語るうえでまず外せないのはその特徴的で美しいビジュアルにある。純粋なグラフィック技術の向上だけではない製作者のセンスが爆発した驚異的な風景は、遊んでいる間にスクリーンショット一枚切り出した際に一瞬「こんな感じの絵、普通にありそう」と思ってしまう程である。
 

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『INSIDE(インサイド)』において特に驚くのは少年と世界を彩る「光と影」の表現である。薄暗い光景の中差し込む一条の光、明るい風景が少ない本作においてこういった表現の「空気感」としか言いようのない絵作りは遊んでいる間驚きっぱなしであった。
 
『LIMBO』は光と影の表現を白黒で描き切り当時のゲームプレイヤーを驚かせた。そして『INSIDE(インサイド)』で進化したこの光と影の表現。実際に遊んで圧倒されて欲しい。
 

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加えて、物語に深みが生まれる、魅せ方の「構図」も欠かせない要素である。本作は3D背景2Dアクションという形式をとっており、カメラワークの自由度が格段に上昇している。場面場面によってプレイに支障を与えない範囲でダイナミックに変化するカメラワーク、こういった移り変わり方も終盤までプレイする間の重要なアクセントとして機能している。ように感じた
 

動きを彩る細やかな「仕草」

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物陰の裏なら息をひそめる、開けた空間なら見上げる、奇妙な構造物があれば気にする。本作の主人公は周囲のありとあらゆるオブジェクトに対して細かく反応するようにできている。
 
これにより背景に目を遣りながら長い距離を歩き、脅威から隠れている間は自身も思わずも息をひそめ、画面の中の視線を追いかけながら謎解きを行っていく。このギミックは物語の動きに深みを生み出すことに成功しており、プレイヤーの感覚は主人公へと「入り込んで」いくのだ
 

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また「見ている場所」の表現に関しても、主人公はじめ人物の表現方法の顔のない顔が
 

応用に次ぐ応用で解いていく「謎解き」

本作においてプレイヤーが使える操作ボタンは十字キーによる移動とAボタンでのジャンプ、Xボタンでのつかみ、以上である。
 
『LIMBO』の時と同じこのシンプルな操作方法で様々な形式の謎解きを駆使していくのも本作の特徴の一つである。
 

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本作『INSIDE(インサイド)』の謎解きについても、前作『LIMBO』から大幅に快適さが上がっている。
 
まず謎解きする際のヒントの与え方と応用に至る誘導の絶妙さ。少し前の場面で行った謎解きやギミックの記憶が残っている間に新しい謎解きでひねるを加えた応用を与え続けるという形式をとっている。
 
そして時間制限付きの謎解きの大幅な削除。
 
前作『LIMBO』ではスイッチAを起動したらその間にスイッチBとCを起動して障害物を取り除き目的地Dへ行く、水位が上昇する中で土台EやハシゴFを動かし上へ上へと逃げていく、などといった制限時間内に何かをこなすような謎解きがしばしば存在した。
 

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本作では時間制限付きの謎解きがなくなった代わりに追加されたのが「タイミングや手順を再現する」謎解きが追加された。例えば対象Gから逃げる際に物陰Hや水中に特定の順番で避けなければ捕まってしまう。などといった1回2回繰り返し死ぬことで切り抜けることが出来る「覚えゲーほどではない」シークエンスが追加されているのだ。
 
覚えゲーほどではないと言った理由は周囲の環境をよく観察したらうまく避けることが出来るように環境表現がうまく作られているからである。実際自分が初見で遊んだ時、スルッとそのまま逃げ切ることが出来た場面に幾つか遭遇した。
 
そういった意味でも本作の謎解きの快適さと緊張感は高いレベルで保たれているものだと遊んでて実感した。
 

慈悲のない暴力的な「表現」

『LIMBO』の時点で丁寧に描かれていた暴力表現やゴア表現、本作『INSIDE(インサイド)』ではこれらの描写も強化された。
 

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基本、白黒で描かれていた『LIMBO』のゴア表現はもやのかかったモノトーンであるためゴア表現などはハッキリと見ることができず、その代わりに音や動きによって生々しくプレイヤーに認識させつつ「実際に目の当たりにしなくてよかった」という一種の安心感も与えていた。
 
だが、本作はそのような「やさしさ」は微塵も存在しない。大まかにはローポリゴンで描かれてるが繊細な表現は第八世代家庭用機のそれなので、美しく容赦のないゴア表現を堪能することができる。
 

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これによって爆風で手足は飛び散り、コンクリートの床には赤い鮮血が飛び散り、回転刃に巻き込まれれば内臓が漂う。シンプルなビジュアルで繊細に表現された「死」のインパクトは本作を語るうえで外せない要素なのだ。
 

「中へ、中へ」

『INSIDE(インサイド)』の名前の通り本作の大まかな話の流れは「得体のしれない何か」へ侵入していくものである。一切のセリフもテキストも会話も存在せず、状況や背景やギミックで語っていく本作は次第に好奇心が生まれ先へ先へと気になる作りになっている。

 

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自分は何者なのか、追いかけてくる奴らは何者なのか、この世界はどうなっているのか、この先に何が待ち受けているのか。疑問は解けたり残ったり。

 

語らず語る「物語」

「ゲームは芸術足りえるか」、しばしば議論として出てくる題材だが、本作『INSIDE(インサイド)』はまさに「芸術的な作品」であると、自分は遊んでいて感じた。

 

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最初に何度も書いたが本作は初見でのインパクトが特にすさまじい作品である、その中でも中盤から終盤にかけて本作で与えられる驚きはプレイ動画ではなく自身の手で遊んで体験して驚いてみて欲しい。

 

関連リンク

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